極愛〜狙われたら最後〜
「私、あの瞬間まで自覚してなくて…」

龍臣を殺れないとわかって初めて自分の気持ちに気づいた。

「俺もだよ。あの瞬間まではお前の本当の気持ちがわからなかった」

首筋を吸い付かれる。

「ん…」

「お前さえいればって思ってたのに。こんな風に子供まで授かるとはな」

そう言ってお腹を優しく撫でる。

「私もそれは諦めてたから」

「雫。幸せにする」

「ありがとう」

本当に私は幸せ者だ。
まさか公衆トイレで産み落とされて、施設で育ち組織に引き取られて隠れるように生きてきた私が、こうして龍臣の目に止まってこんな幸せな暮らしが待っていたなんて。

私は龍臣に出会ってたくさんの愛を注がれて、愛する喜びを知った。

母親は知らないけど、この愛は本物だ。
きっと龍臣と一緒ならこの子を立派に育てられる。

まだ見ぬ我が子が愛おしい。
だってこんなに愛してる人との子供なんだもの。
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