極愛〜狙われたら最後〜
『常田(ときた)組の組長を殺れ』

暗殺ですか。

『方法は任せる。一週間以内だ』

「承知」

電話を切るとマスターが私に紙を渡す。

へぇ。

私はワインを口にする。
ここは行きつけのBAR『ルージュ』。

マスターも同業者。
というかこうして仕事の詳細を渡す橋渡し的な存在。

意外といるのよ私みたいな仕事してる奴って。

お互い詮索しないのがこの世界のルール。

協力もしなければ何もない。

頭の中に情報を入れて、ライターでその場で燃やした。

タバコに火をつけてふぅーっとマスターの顔めがけて煙を吹いてやる。

マスターは私をジッと見るだけで無表情を貫いている。

今日の私は真っ赤なロングドレスを着て、明るめの茶色の髪は腰近くまであって緩く巻いている。

さっきまで一緒にいた男は、今ごろベッドの上であの世にいっている。


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