極愛〜狙われたら最後〜
「ねぇ。離れてよ」

「ん? やだ」

やだって…

そんな事を言っていればキスをされる。
甘くてお腹の奥が切なくなるようなそんなキス。

どうしてか私も受け入れてしまう。

そしてその時、私の仕事用の電話が鳴った。

携帯を見ればZ。

龍臣はニヤっと笑って自分の口に人差し指でシーっというジェスチャーをした。

黙ってるから出ろって事だ。

「はい」

『進捗は』

「潜り込んだわ。今妻のポジションにいる」

『妻? ははは。嘘だろ?』

龍臣を見れば笑いを堪えている。
どうやら聞こえているようだ。

Zの音声はモザイクがかかっていて、ロボットみたいな声だし。

「嘘じゃない。私のことが可愛くて仕方ないみたい」

私は龍臣を見ながらZに話す。
龍臣は少しだけ目を大きくして驚いた顔を見せた。

『ほう。ならしばらくはそのままでいい』

「承知」

そう言って電話を切った。
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