極愛〜狙われたら最後〜
「たくさん怪我してる…」

私はそっとなぞる。

「まぁ。そういう世界に産まれたし」

そういう世界…

「大変だね」

「クククク。お前が言う?」

その時外がキラっと光った気がした。
すると私よりも早く気づいた龍臣は直ぐに私を後ろに隠した。

え…?

庇った…?

私を?

「敵?」

「いや、違う」

「あ、そう…」

「雫、おいで」

そう言って私を上に乗せる。

「今度の集会でお前を紹介したら護衛と付き人を付けなきゃならない」

あ、やっぱりそういうもん?

「お前は少し不自由になる」

「別にいいんだけど」

「そうか。悪いな」

いやむしろそれが普通でしょ。

「気を遣ってたの?」

「いや。まぁ…。面通しするまでは…とは」

「私がその間に逃げ出すとは思わなかったの?」

「思ったよ。でもお前は逃げなかった」

それは結果論じゃん。



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