極愛〜狙われたら最後〜
「ははは。あなたお名前は?」

ここにいるくらいなんだからどこかの娘なのよね?

「川口組 組長の娘。川口 真麻(かわぐちまあさ)よ」

ほう。
私は記憶力はずば抜けて優秀だ。

川口組といったら、傘下のまた傘下の組ね。
席順からしてだいぶ離れていたし。

「私にあまり好意的ではないようね?」

「だったらどうなのよ」

彼女はそう言って私を睨む。

「ふふふ。私が誰の妻だか分かっていてそんな事言ってるの?」

「ひ、卑怯よ!」

「そうかしら。あなたこそ、こうして周りに誰もいない所を狙って話しかけてきたんでしょ?」

「それは…」

「何か他に文句があるなら、夫も一緒にいる時に言って下さる?」

女は顔を真っ赤にして私を睨む。

「川口組 川口 真麻さん」

名前をゆっくり復唱すれば、それだけで額から冷や汗を流し始めた。

「私は龍王会八神組 若頭 八神龍臣の妻よ。わかってる?」

ガタガタと震え出す女。
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