極愛〜狙われたら最後〜
「龍臣が私を選んだの。他の誰でもない私を」

何を言ってるんだか。
でも仮にも私はこの組織のトップの妻だ。

舐められてはきっと困るだろう。

「そういう事なので、気軽に話しかけて来ないでもらえるかしら」

うわっ。
なんか今の極道の妻っぽい!
凄く性格悪そう!

「も、申し訳ありませんでした…」

そう言って川口真麻はその場から逃げるように離れていった。

はぁ。面倒くさい。

その後も他にも来ていた女性たちは、私を見るなり頭を下げるだけで誰も話しかけては来なかった。

そうよね。
これが普通よね。
よくわかんないけど。

あの女は随分と不躾だったんだと改めて思った。

ポキポキと首を鳴らす。

すると近くにいた数人の女性たちが息を飲んだのがわかった。

最近運動不足で困っちゃうわ。
家に帰ったらとりあえずマシンでトレーニングをしてヨガをしよう。

この堅苦しい着物も疲れるし。
そんな事を思いながら龍臣を待った。
< 72 / 268 >

この作品をシェア

pagetop