極愛〜狙われたら最後〜
変わらずZからの連絡はない。

ねぇ。
これさ、私何か意味ある?

龍臣は夫婦のフリと言って時折り私を会社のパーティーなんかにも連れて行く。

その時は、表向きの七瀬として。

まさか誰もドレスアップした私がエイトカンパニーの派遣社員だとも思わず頭を下げていく。

そして龍臣はフリとは思えないほどの甘い顔で私を見る。

この演技力には私も脱帽だ。

誰も見ていない家の中でさえそうなんだから。

抜かりないよね本当に。

「雫。もう俺に盗聴器を仕掛けるのはやめたのか?」

そう言って耳元に口を寄せて囁くように話しニヤっと笑う龍臣。

「お前が気にしていた女。あれだよ」

え?

「誰に何を聞いたか知らないが俺にはお前だけだ」

その視線の先には確かに綺麗な女性がいた。
でもその隣には私もよく知る人物。

将臣さん?

「ありゃ将臣の嫁だ。クククク」

「結婚してたの?」

「ああ」

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