極愛〜狙われたら最後〜
私は思わずカァッと顔が熱くなる。

今更ヤキモチを焼いたみたいな行動をとっていた自分に気づいて。

「かわいいな、本当に」

そう言ってパーティー中で他に大勢の人がいる中私のこめかみにチュッとキスを落とす龍臣。

今は七瀬龍の風貌だが。

「おやおや、七瀬CEO。奥様に夢中ですね」

そう言って話しかけてきたのは、エイトカンパニーの重役。

「ええ。妻があまりにも可愛いもので私も困ってるんだ」

「ははは。奥様もとてもお綺麗で。お気持ち分かりますよ。すっかり愛妻家と言われてますしね。それじゃ、私はお邪魔なようなので」

そう言ってペコっと頭を下げて重役のオヤジは行ってしまった。

龍臣を見ればニコニコと愛想良く笑っている。

なにが愛妻家よ。

こんなの私の身体を弄ぶ狂った鬼よ?

「クククク。愛妻家だという事がバレてしまった」

はぁ?

それでも私はにこやかな表情を崩さない。
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