極愛〜狙われたら最後〜
少しからかってやろうか。

「私も、あなたが愛しくてたまらないわ?」

言ってやった。
リップサービスよ。
どこで誰が聞いているかもわからないし。

すると龍臣は珍しく驚いた顔を見せる。
へぇ。
そんな顔もできるんじゃない。

「私は、あなたのものだものね?」

そう言って胸元にそっと手を当ててやった。

龍臣は一瞬眉間にシワを寄せるもすぐにニコリと微笑む。

「ああ。愛してる。心から」

そう言って口元に笑みを浮かべ私を見下ろしたその漆黒の瞳は、言葉とは裏腹にとても暗かった。

感情を殺しているかのように。

ゾクっと鳥肌が立つも私はニコリと微笑み返した。

なぜだか今、腰が抜けそうになった。

その狂気じみた顔つきに根こそぎ何か持っていかれそうになった。

なんだったの今の…

バクバクと心臓がおかしな動きをして音を立てている。
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