極愛〜狙われたら最後〜
しばらくして龍臣が腰にタオルを巻いただけの状態で戻ってきた。

冷蔵庫を開けて冷えたビールを一気に煽る。

ゴクゴクと喉を鳴らして喉仏を上下させるその姿はまるで映画のワンシーンのようだ。

あの喉にひと突きする。
握った拳に自然と力が入ってしまった。

「雫も入っておいで」

飲み終わった龍臣に声をかけられ、私は龍臣の側まで行って自分からキスをした。

「行ってくる」

上目遣いをして胸に手を添えてスルっと撫で私はシャワーを浴びに行く。

いつもより念入りに身体を洗う。

これで私を抱くのは最後。

綺麗な私で見送ってあげる。

さよなら。

そう心の中で別れを告げた。

今夜は絶対に気を抜かないようにしないと。
絶対に龍臣のペースに飲まれてはだめ。

それだけしっかりと自分に言い聞かせてお風呂場から出た。



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