バンドマンの彼氏。
「あの事、まだ気にしてんの?」


武政が言うあの事とはきっと、俺のトラウマの話だろう。

俺は星七と出逢う少し前まで、とてもだいすきでだいじな、年上の彼女が居た。

同棲していた。

喧嘩も少なく、とても仲が良かった。

ある日、家に帰ると知らない男と彼女が行為をしていた。


「え...」


俺の声に気付いた彼女は慌てた。


「陸斗今日遅くなるって...」


慌てて服を着る二人。


「MV撮影早く終わったんだ。ライン...したじゃん、、」


俺は彼女のだいすきなケーキ屋さんのだいすきなシュークリームを買ってルンルンで帰ってきたのに。

俺の家で、俺のベットで...。

ホテル代ぐらいケチんなよ。

俺は心底吐き気がした。


「陸斗、あんたつまんないのよ。大事にしてくれてるけど...物足んないのよ」


そう言って彼女は男と出て行ってしまった。
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