恋も仕事も一発逆転!社長へのドラマチック.セカンドラブ

第二回

相席してくれますと尋ねる。すると。そばにいた美久のハイヒールのカカトが。龍太郎の靴紐をぶっちぎった。公園での出来事以来、いつもの美久と違う。それまでは、何食わぬ顔での職場内。オフィスラブの展開だった。しかし。靴紐をぶっちぎってから。美久はふたたび、LINEで、音信不通になってしまう。3日が経ち。一週間が経ち、そして。1ヶ月。美久とは顔を合わせる。挨拶もする。会話もする。なのに、LINEについては、ノーコメント。龍太郎もやっと。異常な関係だと思い始める。朝礼で会社の経営が傾きかけてると課長の言葉が頭をよぎる。若い連中は山梨県にある本社へ出向する人材選びが始まる。従業員はうすうす感じていた。最近の仕事の大半は敷地内の草むしりがあったり、女性人の作った。ぜんざい会があったり。美久さんが、見合いをしたと、なんでも。結納を交わした。そんなはずはない。秘密の交際をしている。龍太郎は噂の出所が気になる。そんな中で、自ら。転勤を希望する。 龍太郎は既読のつかない、LINEを毎日、日課のように呟く。そして、届かないLINEで、誘いをかける。「お昼の15時に。鶴屋デパートの近くの辛島公園で待っています」公園には1時間前に着いた。人影はまばらだ。5分おきに鼓動に激しく揺さぶられる。15時を過ぎ。日がくれてきた。美久は、デパートの駐車場から見ていた。その場所へはやってきたが。龍太郎は気が付かない。龍太郎は待ち望んでいるのに。来るという信念がなかった。LINEで電話をかけるなんて。思い浮かぶことはなく。公園を後にする。近くにいて遠い。毎日顔を合わせる。なのに、まともな会話をしないんだ。何を、LINEで呟いている。龍太郎には痛恨の秘密があった。この会社に入社する前に、不思議な声を聞いた。その時は何が起きたのかと自分自身を疑った。その後、ふとしたきっかけで。聞こえないものが聴こえる。幻聴と言う。病気だと悟る。精神科に出向くと、精神薬を服用された。この精神薬を服用した事を悔やんだ。もう。子供を、産めない身体なのか。もしも。結婚して子供が出来たらと思うと、罪悪感に悩まされ続けている。美久に何と説明すればいいんだ。声が聞こえるとは、普通の人間にはありえない事である。龍太郎は美久に直接。コミュニケーションするのが、本当は怖い。無意識で逃げている感情が一方通行のLINEの意味だ。このまま、山梨に転勤していいのか、後悔はしないのか。出発の日がやって来た。空港に沙織の姿があるが、美久の姿は見えない。沙織は龍太郎に一通の封筒を渡した。そして。一言。「飛行機が飛んでから読んでね」その姿を見ていた課長が。バンザイを三唱した。龍太郎の脳裏には美久の顔が浮かぶ。今日は、昼から重要な会議が予定されていて、旅立つまでは残り5時間ある。同僚達が帰ってから、龍太郎は沙織から頂いた封筒をあけた。そこには。メッセージが添えてある。「未来の社長さん」その言葉を聞いた瞬間に、龍太郎の身体が熱くなった。急いで、スマホのLINEを開き。美久に。届くかわからない。メッセージを送る。「美久さん。一緒に山梨へ着いて来てくれ」咄嗟の思いつきだ。送信すると。いてもたってもいられない。あと5時間しかない。30分して、突然。スマホのバイブレータがなる。着信は美久からだ。「一緒に行ってもいいけど。社長になるの」龍太郎は、勢いに乗り返事を送る。「社長になる」出発。30分前に。龍太郎の視界に入って来たのは。走ってくる。美久の姿だった。

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