Secret Baby
 その言葉に、とりあえず安堵する。
「あのさ⋯⋯久しぶりに遊びに来ない?明日は休みなんだろう?」
 こんな時、どう返すのがスマートなのか。
 私たちは隣人で幼なじみ。
 おまけに、互いの母親同士までもが幼なじみで、ずっと家族ぐるみの付き合いをしてきた。
 昔だったら、遊び疲れてそのまま一緒に眠ってしまうこともあったのに。
 それが、こんな風に躊躇ってしまうようになったのはいつからだっただろう。
 私がおかしくなってしまった時?
 それとも、涼の気持ちを知った時?
「メルー!おつかれー!」
 元気な高い声に、俯きかけた顔を上げる。
 涼の双子の妹である萌子が手を振って駆け寄ってきて、私も笑って手を振り返す。
「あいつも居るんだから、何も変な心配しなくていいのに」
 そっと耳元で言われ、ぎくりとする。
「別にそんな、変な心配なんて⋯⋯」
「ねーメル、家で映画でも観ようよ」
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