護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「おやおや、風邪をひきますよ」
スヤスヤと寝息をたてるルードリックを軽々と抱き上げ、セブルスは微笑んだ。
「誰もが委縮する大公殿下も、寝顔は天使のようですな」
セブルスは執務室の隣にある仮眠室のベッドにそっとルードリックを寝かせた。
「さて、仕事に戻りますか」
補佐官であるセブルスは、先代のころから大公家に仕えている。
ルードリックが留守の間、すべてを任される大公家の重臣となった。だから今は自分が執務をこなして踏ん張らねばならない。
死の森の洞窟から秘密裏に戻ったルードリックの姿を見て衝撃を受け、即座にこの事態を隠さねばならないと思った。
アルディナルの大公が力を失ったと知られれば、敵対している勢力が狙ってくるのは容易いことだろう。
「どうにか、大公家を、殿下を守らなければ」
そして一刻も早く、呪いを解く方法を見つけなければならない。
事態は、深刻である。