護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
幼児姿で過ごすぐらいに女性が苦手なのだから、役目を遂行できない気もするが大丈夫なのだろうか。
そんなこんなで不安もあるけれど、ついに解呪師としての初仕事の場、アカデミーにやってきた。
学長への挨拶と入寮手続きを済ませて学び舎へ。
クラスでの挨拶は難なくクリアして授業を終えると、留学生のエリアナに興味津々な女子たちが話しかけてきた。
肝心のグレッタを探すもすでに姿がない。
──女子にはまったく興味ないみたい。
「こんにちは。ピンクの髪が素敵ね」
「ありがとう」
ひとしきりピンク髪が褒められる。皇都でもピンクの髪はめずらしいようだ。
「一緒に留学してきたマクスさんには婚約者がいますの?」
「体格が良くて精悍な顔立ち、素敵な殿方ですもの。アルディナルでもおモテでございましょう?」
──どうなのかしら?
マクスは伯爵家の次男だから社交界にはでてるだろうが、エリアナを守ることに命を懸けてしまうほど騎士道に専念している人だ。
──いまんとこ令嬢たちとの交流はなさそう。
「……婚約者はいないみたいです」
令嬢たちが嬉しそうにしている。
彼女たちがアカデミーに入学する目的は交友関係を広めることで、そのなかでも重要なのは良き殿方と出会うことらしい。
「そういえば、アルディナル大公殿下も特別講師に来てくださったとか」
「まあ、ほんとですの? 雷撃の大公と恐ろしい噂がありますけど、麗しいお方なのでしょう?」
「ええ、とても素敵なお方ですよ」
きゃあきゃあと華やぐ令嬢たちはかわいらしい。
どんどん話題が膨らんでいく。
──これが憧れの女子トーク!
王国では体験できなかった同世代の女子とのおしゃべりだ。ワクワクして役目を忘れそうになる。
「でも心配ですわ。マクスさんも大公殿下もグレッタの餌食にならないといいのですけど」
エリアナはきらっと目を光らせた。
願ってもない話題である。