護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
☆☆☆
謁見の間。
多くの貴族が集まっている中で、エリアナは緊張の面持ちで壇上に立つ陛下の前で身をかがめた。
「解呪師エリアナよ。皇子の危機と多くの貴族子息を救ったこと誠に感謝している。褒賞として、一代限りの伯爵位を授ける。家名は、そうだな……ルルカにしよう」
──陛下、ひょっとして、今家名をお決めになりましたね?
誰もがそう思っているだろうことは、陛下のわきに立っている皇子殿下の苦笑からわかった。
それでもエリアナとしてはかわいい家名に満足である。
解呪師、エリアナ・ルルカ伯爵。
これから先はこの名で第二の人生を謳歌していくのだ。
「して、エリアナ・ルルカ伯爵。そなたに百万ゴールドと宝飾品を与える」
──はわわ……そんなにいただけるのですかっ。
帝国庶民のひと月分の生活費は1ゴールドである。
「あ、ありがたく頂戴いたします」
声が震えてしまい、陛下がニッと笑った。
「黒獅子騎士団員、マクス・コール卿」
「はっ」
マクスが陛下の前で跪く。
「此度のそなたの活躍、まことに素晴らしかった。そなたに宝剣を与える」
「ありがたき褒賞、ふかく感謝いたします」
拍手が沸き起こり、爵位授与式が無事に終わった。
「では皆の者、二人をたたえ、パーティを始めようではないか!」
陛下の高らかな宣言で、わっと歓声が上がった。
楽師が音楽を奏でて、貴族がたがのみものを取ったり、固まっておしゃべりを始める。
陛下は皇妃候補のご令嬢たちに囲まれている。一人を選び、中央にいざなってダンスを始めた。
皇子殿下はアマンダの手を取っている。
アカデミーでは終始きりっとしていたアマンダの顔が恋する乙女の表情に変わっている。ふたりが婚約するのは時間の問題かもしれない。
「エリアナ・ルルカ殿。俺にきみと最初のダンスを踊る栄光を与えてくれないか」
「はい、殿下。光栄でございます」
エリアナと触れ合えば、ルードリックの青灰色の瞳が澄んだ青に変わる。
──ほんとうに、失明の呪いが軽減してる。
幼児姿では変化がなかったのに、大公姿ならば呪い軽減するのは魔力を使っていないからだろうか。
「殿下、今も色が見えますか?」
「ああ、はっきり見えるよ」
謁見の間。
多くの貴族が集まっている中で、エリアナは緊張の面持ちで壇上に立つ陛下の前で身をかがめた。
「解呪師エリアナよ。皇子の危機と多くの貴族子息を救ったこと誠に感謝している。褒賞として、一代限りの伯爵位を授ける。家名は、そうだな……ルルカにしよう」
──陛下、ひょっとして、今家名をお決めになりましたね?
誰もがそう思っているだろうことは、陛下のわきに立っている皇子殿下の苦笑からわかった。
それでもエリアナとしてはかわいい家名に満足である。
解呪師、エリアナ・ルルカ伯爵。
これから先はこの名で第二の人生を謳歌していくのだ。
「して、エリアナ・ルルカ伯爵。そなたに百万ゴールドと宝飾品を与える」
──はわわ……そんなにいただけるのですかっ。
帝国庶民のひと月分の生活費は1ゴールドである。
「あ、ありがたく頂戴いたします」
声が震えてしまい、陛下がニッと笑った。
「黒獅子騎士団員、マクス・コール卿」
「はっ」
マクスが陛下の前で跪く。
「此度のそなたの活躍、まことに素晴らしかった。そなたに宝剣を与える」
「ありがたき褒賞、ふかく感謝いたします」
拍手が沸き起こり、爵位授与式が無事に終わった。
「では皆の者、二人をたたえ、パーティを始めようではないか!」
陛下の高らかな宣言で、わっと歓声が上がった。
楽師が音楽を奏でて、貴族がたがのみものを取ったり、固まっておしゃべりを始める。
陛下は皇妃候補のご令嬢たちに囲まれている。一人を選び、中央にいざなってダンスを始めた。
皇子殿下はアマンダの手を取っている。
アカデミーでは終始きりっとしていたアマンダの顔が恋する乙女の表情に変わっている。ふたりが婚約するのは時間の問題かもしれない。
「エリアナ・ルルカ殿。俺にきみと最初のダンスを踊る栄光を与えてくれないか」
「はい、殿下。光栄でございます」
エリアナと触れ合えば、ルードリックの青灰色の瞳が澄んだ青に変わる。
──ほんとうに、失明の呪いが軽減してる。
幼児姿では変化がなかったのに、大公姿ならば呪い軽減するのは魔力を使っていないからだろうか。
「殿下、今も色が見えますか?」
「ああ、はっきり見えるよ」