護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
食事を終え、天幕に戻ったエリアナは隅に置かれている鎧や剣を目にし、その前でひざまずいた。
鎧には、ナンザイ王国でエリアナが聖力を込めていたクリスタルに似たものがはめ込まれている。
役目を終えているのか、石からはなんの力も感じられない。だが、きっとこれが瘴気を払ってくれていたのだろう。
手を組み、そっと目を閉じる。
聖女としていつも行ってきたこと、浄化と祝福。
今はもう聖女としての力はなくて効果はないだろうけれど、自分を救ってくれて、楽しい時を過ごさせてくれた彼らのために祈らずにはいられない。
「神よ。アクエラさま。スルバスさんや騎士たちがけがをしませんように、瘴気に毒されませんように、どうかみんなをお守りください」
祈りを終え、眠気を感じたエリアナはベッドに横になった。
翌日、アルディナル城から戻ってきたトーイから思いがけない知らせを受けた。
「殿下の命です。当面、あなたは城の侍女として働いてもらうことになりました」
「ほんとですか!」
「エリアナよかったな!」
スルバスも団員たちも喜んでくれている。
エリアナは天にも昇りそうな心地でお礼を述べ、トーイの魔法で城まで移動したのだった。