護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

 ルードリックの小さなつぶやきだった。

 病気で引退されたという先の大公殿下はどんなお方だろうか。いつかお会いしてみたいと、エリアナは思う。

「エリアナの存在が救いだ。これでも俺は日々感謝しているんだ」

 サリナと話したからだろうか。ルードリックの雰囲気が柔らかくなっている。でも言った後、すぐに顔を背けてしまう。その首元が少し染まっているようにも見えた。

「もったいないお言葉です」

 日々言葉にしてなくても、彼の感謝の気持ちは伝わってきているのだ。改めて口にされると、エリアナも照れてしまう。

 さてちび獅子はというと、変わらずにフワフワとエリアナの頭上に浮かんでいる。
 契約者ではなく、エリアナのそばにいる謎はいつ解けるのだろうか。

 ルードリックに従い執務室に戻ると、待ち構えていたセブルスが事の顛末を問うた。
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