護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

黒獅子騎士団の帰城


 サリナの訪問を受けた数日後。

 エリアナは討伐から戻った騎士団を出迎えるため、ルードリックとともに東門のほうへ向かった。

 本城の東側には黒獅子騎士団の演習場や寮などがある。帰城したばかりの彼らは馬や荷馬車から荷物を下ろしたりして、忙しそうに立ち回っていた。

 ──みんな無事みたい。よかった。 

 エリアナはなるべく目立たないように、ルードリックの背に隠れるようにして歩く。

 彼の背中は大きいし、つないでいる手が見えないように、二人とも着丈の有る黒いマントを羽織っている。エリアナの姿は背後を覗かない限り見えないはずだ。

 ついてきているちび獅子は、エリアナの頭にちょこんと乗っている。肉球が額に当たって、実体はないもののぷにぷにした感触が伝わってくるようだ。ルードリックと一緒に出歩く緊張感を癒してくれている、かわいい子である。

 訓練場前の広場にルードリックが姿を現すと、トーイと副団長らしき騎士と話していたスルバスがいち早く気づいた。

「殿下……!」

 駆け寄ってくるスルバスの表情は驚愕と喜びが混ざっている。トーイは変わらずに澄まし顔だ。

「わざわざこちらに来られるとは」

 ルードリックの登場に気づいた騎士たちがスルバスの背後にずらりと並んでいく。
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