護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

「彼女がそう言っているんだ」

 そういってルードリックが背後を振り返る。

 ──えっ、私、出てもいいの?

 ルードリックがエリアナの手を引くから、彼らの前に出てしまった。

「ああ、エリアナですか」

 トーイが納得した声を出し、スルバスをはじめ、団員たちからは驚きの声が上がった。

「殿下が隠していたのは、エリアナだったのかぁ」

 スルバスがニカッっと歯を見せる。エリアナはうまく隠れていたつもりだったが、人がいることはバレバレだったようだ。

「あの、えっと。こんにちは、スルバスさん。お久しぶりです」

「エリアナ!」と、数人の騎士がわっと寄ってくる。彼らはエリアナを見つけてくれた人たちだ。

「元気そうでよかった!」
「ずっと気になっていたんだ」
「みなさんも、お怪我がなくてなによりです」

 にこにこして騎士たちに対応していると、ルードリックの腕が彼らを遠ざけるように動いた。

「再会の喜びはわかるが、不穏なものの対処が先だ。トーイ」
「御意。エリアナ、荷のどこにあるかわかりますか?」

 トーイが尋ね、エリアナは数台ある荷馬車のうちの一つを指した。

「……よくわかりましたね。呪いが漏れないように魔道具で覆っていたんですが」

 トーイの声のトーンは低く、言いながらなにかを考え込んでいる感じだ。

「どういうことですか?」
「国境の町で違法の呪物を押収してきたんです。とにかく量が多いので、解呪するにも手間と多くの魔力がいるので、体力が回復してから着手しようと、箱に入れて厳重に管理していたんです」

 魔術師としての単独任務で、ルードリックには報告済みだともいう。
 トーイが魔道具である覆いを取り払うと、まがまがしい気がムワァッと出た。エリアナに襲い掛かってくる。

「きゃっ」
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