護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
そんなふうに子ども化したルードリックたちのやり取りがなされるなか、エリアナは解呪に向けてトーイの助言を真剣に聞いていた。
「……という感じです。いいですか?」
「はい! 頑張りまっす!」
鼻息荒く答えるも、自信はない。
──えーっと、大量だから、意識して、力をだすようなイメージってことよね……。緊張する……。
力が伝わりやすいように、ひとまず箱を引き寄せることにした。
呪物からはまがまがしい気がもわもわと立ち上っていて、今にも囚われそうで怖い。それでもでもなぜか手に入れなくちゃいけない気持ちになってくるから、ほんとうに危険な物だ。
慎重に、両手で箱を持った瞬間。
バチン!!
「痛ぁっ」
ビリッとした刺激があってエリアナは目をつむってしまったが、箱はカッと光を放っていた。
「あれ? 今、光りました? 私、まだなにもしてないんですけど」
トーイに尋ねるが、彼は箱を凝視している。
「……驚いたな。全部解呪できている……」
呪物を感知するという魔道具を手に呆然としていた。
「え? そんなはずは?」
トーイの言った通りまがまがしい気がはれて、アクセサリーは輝き人形は可愛い顔に変わっていた。
──ひょっとして、あらゆる呪いが解けちゃうの?
「エリアナ! すごい力ですよ!」
「はい?」
「触れるだけで解呪するとは稀有な力です! 我ら魔術師は呪いの種類を解読してそれに合う解呪魔法陣を構築しなければならないというのに、こんな雑多な呪いを一瞬で消すなんてすごすぎます。そうだ、瘴気も澱みも呪いの一種だと考えればエリアナが死の森を無傷で越えたのも納得できるというものです。ドラゴンの呪いは強大で致し方ないにしても、人間が作り出した呪物の解呪などはエリアナにとっては造作もなく……」
怒涛の如くに早口でまくしたてて、キラキラと輝くような笑顔でぐいぐい迫ってくる。