護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
解呪の騒ぎから二日が過ぎたある日の午後、エリアナはサリナの住む離れに訪れている。
離れの一室には色とりどりのドレスが並び、エリアナはサリナの侍女の手によって人形さながらに着せ替えていた。
「うん、そうね、このデザインがいいわね。ここに透け感のあるレース生地をあしらってちょうだい。ドレスの色はピンクの髪が映える淡いクリーム色がいいわ。アクセサリーは瞳と同じ色のペリドットを」
サリナがキュピーンと目を光らせ、メモとペンを持った夫人がこくこくと頷く。
「さすが社交界の華でいらっしゃるサリナさま、センス抜群でございますね!」
ほぅっと息をついた夫人は、サリナお抱えドレスショップの店主だという。
──なんだか、どんどん華やかになっていくような……?
輝く宝石類を眺めているだけで、エリアナの心臓がバクバクしてくる。
価格的にもストップをかけたいが、支払いは大公家であり、サリナにすべてを任せたためエリアナに発言権はない。
ドレス選びの後はダンスのレッスンをすることになっている。試着だけで疲れ気味なのに体力が持つだろうかと焦ってもいる。