護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

 たしかに、今回の呪物探しは重大な犯罪の匂いがするのだ。

 人には任せられない。

「そうですね。大変な任務です!」
「……ええ、だからエリアナ。今度のパーティではルードとダンスをして、あの子が完璧な貴公子だってこと、知らしめてきてちょうだい!」

 サリナから燃えるような意思が伝わってくる。

「えぇっ……」

 大変なプレッシャーを与えられて、つい「はわわ……」と声が漏れる。

「あなたなら、できるはずよ」

 サリナはにこっとし、「では、ダンスのレッスンをするわね」と、エリアナを広間へと誘った。

 そしてレッスンを受けた結果。

 ──あら? あらら?

 予想外にもスムーズにリズムを取ってすいすいと体が動いて戸惑うも、サリナに盛大にほめられることとなった。

「驚いたわ。エリアナは謙遜していたのね。とても素晴らしいじゃない! ルードのダンスパートナーとして申し分ないわ!」

 ──なんてことなの。

「……ありがとうございます?」

 元が公爵令嬢であるこの体の社交スキルは、とんでもなく高かったのである。
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