護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

 怒りをあらわに、ガンッと壁を叩いたのはマクスだ。

 怒鳴り声の迫力のすさまじさと、一撃で硬そうな壁がボロボロと崩れたのも相まって、騎士の殺気に耐性のないエリアナはブルブルと震えてしまう。
 気づいたルードリックがそっとエリアナを引き寄せた。

「殿下、即刻捕らえるべきです! ご命令を!」
「マクス、落ち着け。まずは殺気を収めろ。エリアナが怖がっている」

 青ざめたエリアナを見て、ようやくマクスは拳を収めた。

「申し訳ありません……」
「夫人を捕らえるには十分な証拠をつかむ必要がある」
「それならば、殿下。本日の主役の方のプライドを利用されたらいかがでしょう」

 トーイの提案に、ルードリックは嫌そうに息を吐く。

「俺がおとりになればいいのだな……それならば……」

 声を潜めるルードリックのもとに、みなが集まった。
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