護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!

エリアナの告白

「殿下、エリアナさまを皇都にお連れすべきです」

 パーティから数日が経ち、執務室に訪れたトーイは開口一番にそう言った。

「陛下に謁見し、正式に帝国の解呪師として活動するべく、承認していただくべきです」

 ──私が、解呪師に?

「それは俺も考えていたところだ。コール伯爵の件で力が証明されている。陛下も認めてくださるだろう」
「そうすればエリアナさまは正式に帝国民となり、解呪師を生業として生活できますよ。今よりもがっぽり稼げます。この私のように」

 トーイがキラキラした笑顔を向けてくるが、エリアナは沈んだ気持ちになる。

「でも、そうすると……国に縛られて、自由がなくなるのではないですか?」
「そんなことはありません。確かに国からの依頼もあるでしょうが、仕事を選ぶ権利はエリアナさまにあります」

 そうはいってもエリアナには信じられない。ナンザイ王国での苦い経験が思い起こされてならないのだ。

「エリアナさま、様子が……なにかお辛いことでも思い出されたのですか?」

 セブルスが気遣ってくれる。ルードリックもトーイも真面目な顔つきでエリアナの答えを待っている。

 ──この人たちなら……。

 エリアナは意を決し、ルードリックを見つめた。

「殿下、お話があります」

 ただならぬ雰囲気を感じ取ったルードリックは、エリアナをソファへ誘った。

「えっと、なにから話せばいいのか……普通じゃ、とても信じられないことなんですけれど」
「なんでも話してくれ。俺は最初、きみを信じられないと言ったが今はそうではない。ずっとそばできみを見てきて考えを改めたんだ」

 エリアナがなにかを隠している様子から、他国からのスパイだと怪しんでいたという。

「スパイなんて、違いますよ!」

 とんでもない誤解をされていたことに驚いてしまう。
 けれど実際に隠していたことはあるのだから、ルードリックは人をよく見ている。賢明で立派な領主なのだ。

「そう、きみにそんなことはできないとわかったんだ。今はもう話の内容がなんであれ、きみを信じることができる。ここにいるみなも同じだろう」

 セブルスとトーイがうなずいた。
 話すと決めたものの実際に口に出そうとすると、もじもじしてしまう。
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