護国の聖女でしたが別人にされて追放されたので、隣国で第二の人生はじめます!
「では一同よ。場所を移そうか」
陛下がのたまったその部屋は神獣の間の隣だった。
ソファに落ち着いてすぐ、スサノーンとナギュルスがエリアナのもとに集まってきた。スサノーンは肩に乗り、ナギュルスは膝で丸くなっている。
──かわいい。すっごくかわいいのだけれど。
本来の契約者をさしおいて、こんなに懐いてもらって良いのだろうか。
そう思うが陛下もルードリックも咎めることはしない。それどころか気分がよさそうだ。
「それで思い出したことというのは?」
「はい。殿下とトーイさん、そして陛下もご存知でしょうが、私はナンザイ王国の聖女でした。その私が今の、この体に入ったときのことです。あの日、私が聖女として石柱の浄化をしたあと、部屋に入ってきたフードを被った男に術をかけられて眠らされました」
動けずに半濁した意識の中で、自分の体が台に乗せられてフードの男が何事かを唱えているのがわかった。
なにかに遮断されているのか聖力も使えず、アクエラ神への祈りも通じない。なすすべもなく横たわっていると、急な浮遊感に襲われて強力な力に引っ張られた。
『ああ、これは困ったことよ。そなたがここに来るのは早いぞ』
黄金に光る世界で、目の前にいたのは困惑している光る人だった。
『わらわが聖力を与える前に術をかけるとは、なんとも姑息な奴じゃ』
白く長い髪、きれいな曲線を描いている体。光る人は女性のようだった。
『どうしてくれようぞ』
ぷんぷんと怒り、いらいらと歩き回っている。
『あの、あなたは? 私はどうなったのですか』
『おう、そうであった。わらわは、そなたの神であるアクエラじゃ。そなたは一時的に魂が抜き出ている状態である。悪しき力で魂が汚れては困るゆえ、わらわのもとに引っ張ったのじゃ』
アクエラはどやぁと自慢げに胸を張った。
『あなたが? アクエラさま? ありがとうございます?』