女子アナを攻略した男

エピローグ

エピローグ

俊平となつみの婚約発表から数か月後、二人の姿は多くのメディアに取り上げられ、彼らの人気はさらに高まっていた。特に、なつみが司会を務めるバラエティー番組は視聴率が上昇し、俊平の会社も勢いを増していた。かつての騒動で一時的に落ち込んだ彼らの人生は、思わぬ形で新たな方向に展開していた。ある晴れた日、二人は所属事務所の仲間たちとともにプライベートパーティーを開いていた。そこには、かつて事情聴取で関係者として名前が挙がった友人たちも集まり、和やかなムードが広がっていた。俊平がそっとなつみにワイングラスを手渡し、「俺たちも、ここまで来れたんだな」としみじみと語りかけた。
「そうだね。本当にいろいろあったけど、全部意味があった気がする」となつみは笑顔で返した。パーティーの途中で、ひとりの友人が突然ステージに立ち、マイクを手に取り、俊平となつみのためにサプライズのスピーチを始めた。彼は二人が最初にメディアの嵐に巻き込まれた日々を振り返り、「今やこんなに幸せなカップルになったことに、みんな心から喜んでいるよ」と感慨深げに語った。会場全体が拍手と笑い声で包まれ、俊平となつみも思わず涙を浮かべた。その後、二人は静かに外に出て、夜風の中で肩を寄せ合った。東京の街の夜景を眺めながら、俊平がぽつりと「俺たち、あの騒動がなければこうして一緒になれなかったかもな」と言うと、なつみは小さく頷いた。
「そうかもしれない。でも、あの時どんなに辛くても俊平がいてくれたから、私は乗り越えられたんだよ」と、なつみは優しく微笑みながら彼を見つめた。彼女のその瞳には、全ての出来事を乗り越えてきた強さと、これからも共に歩んでいく覚悟が宿っていた。
それから、二人はメディアの前で一切を包み隠さず語ることを決め、賭博疑惑によって経験した苦難、そしてその中で見つけた自分たちの絆の強さについて話した。彼らの誠実な姿勢は多くのファンに受け入れられ、次第に二人を応援する声はさらに大きくなっていった。やがて、俊平の会社は新たなプロジェクトとして、なつみをメインに据えたテレビ番組の企画を発表。二人が共に築き上げた信頼と協力を象徴するような内容で、笑顔と感動を届けるエンターテイメント番組として話題を集めた。この番組は放送開始とともに大きな人気を博し、二人は今や芸能界でも一目置かれる存在となった。時間が経つにつれ、かつての騒動や疑惑は忘れ去られていった。しかし、俊平となつみは決してそれを忘れることはなかった。あの経験があったからこそ、彼らは強くなり、今の幸せを大切にできていると感じていた。彼らの中には、「これからも試練があっても、二人で乗り越えていこう」という信念が根付いていた。エピローグの最後に、なつみが静かに呟いた。「俊平、私たちの物語はここで終わりじゃないよね。これからも一緒に、新しいページを紡いでいこう」俊平は微笑んで頷き、なつみの手を握り返した。夜空に輝く星々が、二人のこれからの未来を祝福しているかのように瞬いていた。

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