パーフェクト同期は恐妻家!?
 クリニックには、コンタクトの練習室なるものがあるのだが、怖くてなかなか上手につけられない。
 あとから来た何人もの患者さんが、スムーズにつけられるようになって出ていったが、私は、2時間経ってやっとのことでつけ外しが出来るようになった。
 かなり視力が悪いので、自分の素顔をしっかり見たのは、初めてのことかもしれない。
 決して美人とはいえないが、瓶底眼鏡を外せば、そこまで極端に目が小さいわけではないことをおもむろに知った。
「素顔、想像以上に可愛くて驚いたよ」
 私の頬を優しく撫でながら、甘く囁かれた夜がフラッシュバックし、顔から火が出そうになる。
 コンタクトにした私を見て、何か言ってくれるだろうか?などと愚かしい期待を胸に、家路を辿った。
 自宅マンションの玄関前には、大好きなカレーの匂いが漂っている。またしても、リンダに夕飯を作らせてしまった⋯⋯!?
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