パーフェクトな同期は恐妻家
 私たちの出会いは、遡ること約2年半前。
 都内の大学を出た私は、日本には知らない人が居ないような大企業に、一般職で入社した。
 その進路は、自分の望んだものではなかったこともあり、無意識に、どんよりしたオーラを纏っていたかもしれない。
 同期の中で、一際目立つ男が居た。
 一流大学出身、エキゾチックな顔立ち、上背もあるのだが、それを全く鼻にかけることのない気さくな性格。
 性別問わず人気があり、仕事も出来るので、当然、上司からも気に入られている。
 片や、私は入社当時から、同期の中で最も目立たない存在だったと思う。
 それなのに、最も目立つ男は、最も目立たない私のことをやけに気にかけてくれていた。
 男性恐怖症気味だった私は、かなり戸惑ったのが本音だ。
 しかし、気付けば自然に心を開き、いつしか彼は私にとって、誰よりも話しやすい相手になっていた。
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