パーフェクト同期は恐妻家!?
「もー、また惚気?」
 山口さんはジロリと睨んでくる。
「違うよ。顔色を窺う云々となれば、惚気とは言わないでしょう?」
「それもそうか。あ、わかった!」
「本当?」
「旦那さん、恐妻家なんじゃない?」
「へ⋯⋯?」
 予想外な言葉にポカンとしてしまう。
「奥さんのご機嫌に振り回されるのって、そんなイメージあるわ。家では鬼嫁みたいに振る舞ってない?」
「えー!それはないと思うよ?私だって、いつも申し訳ない気持ちでいっぱいだし⋯⋯」
「じゃあ、何か後ろめたいことがあるとか」
 その言葉に、自分の顔が青ざめるのを感じた。
「いやいや、それは冗談だってば!そんなに気になるなら、本人に聞いたらいいんじゃない?」
 冗談とは言われたものの、“後ろめたいこと”という言葉が頭を離れない。
 しかし、リンダは仕事ぶりも何もかもが誠実な人で、周りの人望も厚いのだ。
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