パーフェクト同期は恐妻家!?
 しかし、何故か僕は初恋を引きずって、誰かを好きになろうとしても、出来なかった。
 無理に誰かを好きになろうとしても、どのみちうまくいかないだろうし、人生は恋愛が全てではない。
 早く両親を楽にさせたいから、いい大学に入り、いい会社に入ろう。
 昔の人にしてみれば、実につまらない考えの男なのだろうけれど、それはそれで構わない。
 奇跡って本当にあるんだ⋯⋯と知ったのは、入社式でのこと。
 同期の中に、あの柏原京子さんが居たのだ。
 昔、あれほど長身だった彼女が、大人になったらごく平均的になっていたものの、面影だったり、おとなしくて、猫背がちなところは変わっていなかった。
 出身を尋ねた時に、あれ?とは思ったものの、子供の頃に何度か転校したことがあるそうで、僕の地元に住んでいた時期とも被っていたので、やはりあの柏原京子さんで間違いない。
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