パーフェクト同期は恐妻家!?
 ただ、それをハッキリと口にするのは憚られるが⋯⋯。
「俺の表面的なところだけ見てキャーキャー言われたり、変に色目使われても⋯⋯というのが自分の中にあるんだよな。本当の俺はちっとも格好良くないし。確かに、努力して少しは自信を持てるようになったけど、あの頃のひ弱な少年は今も自分の中に棲んでる。男女問わず、新しく誰かと知り合った時、俺はひ弱な少年の瞳で相手を見てるんだ。そうすると、大半の人のことは『ダメだこりゃ』と思ってしまうよ」
「そんなこと言ったら、私だってその一人なんじゃ⋯⋯」
「違うよ。お京が忘れてしまっているとしても、俺にとっては、あの頃からずっと特別な人なんだ」
 本音を言うと、昔から、心のどこかでは、いつかはこんな私のことでも、愛してくれる誰かとめぐり逢えたなら⋯⋯という憧れはあった。
 それこそ、かなり典型的な乙女チック思考で。
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