捨てられた『壁令嬢』、北方騎士団の癒やし担当になる
辺境伯城へ
ディエゴは、申請が通ったばかりの求人票について「どうせいい人が見つからず、貼られっぱなしになると思っていた」らしく、シャノンの返事をもらえて大喜びだった。
すぐに二人はあのけだるげな女性受付のところに向かい、シャノンがディエゴの求人を受けると決めたことを告げた。彼女は、「え、もう!?」と二重の意味でびっくりしていたものの、嬉々とした様子で手続きをしてくれた。
ディエゴ曰く、こういうところでは雇用契約が締結した数が受付の給金にもつながるらしい。
最初のだるそうな雰囲気から一転して生き生きと「ありがとうございました!」と言う受付に背を向け、シャノンたちは求人ギルドを出た。
(まさかここに入って一時間程度で、目的達成できるなんて……)
下手するとこれから長い付き合いになるかもしれない、と思っていたギルドの看板をしみじみとした気持ちで見納めしてから、シャノンはディエゴに案内されて馬車乗り場に向かった。
「では早速、ランバート辺境伯領に向かおう。道中は半月の道のりになるし、その間私みたいなおじさんと一緒だけど勘弁してもらいたい」
「滅相もございません。私、王都の外に出たことがほとんどないので、ご迷惑をおかけすると思います」
「元貴族令嬢なら、それもそうだね。……ああ、ちなみに私には最愛の奥さんとかわいい子どもがいるし、君に変なことはしないから安心してね」
正式に雇用契約を結びシャノンの雇い主になったからか、ディエゴは砕けた言葉遣いになった。
ディエゴは辺境伯家の旗を立てた馬車を待たせていたので、それに乗り込んだ。彼は北方騎士団でもそれなりの地位にあるからか、馬車にはお付きらしい少年とメイドがいた。
最初からディエゴについて疑ってはいないが、女性がいるのならいっそう安心できた……が。
(二人とも、結構背が高いわね……)
シャノンは心の中でこっそりと、そう思った。
ディエゴは男性平均よりやや背が高いくらいだろうが、お付きの少年とメイドはわりと体が大きかった。少年の方は成人しているかしていないかくらいの年齢に見えるが、彼もメイドもディエゴとほぼ身長が変わらない。
(女性で私より背が高い方、珍しいわね……)
そう思って思わずメイドの方をじろじろ見てしまったが、彼女はシャノンが見てきても嫌な顔一つせず、むしろにっこりと笑顔を返してくれた。
すぐに二人はあのけだるげな女性受付のところに向かい、シャノンがディエゴの求人を受けると決めたことを告げた。彼女は、「え、もう!?」と二重の意味でびっくりしていたものの、嬉々とした様子で手続きをしてくれた。
ディエゴ曰く、こういうところでは雇用契約が締結した数が受付の給金にもつながるらしい。
最初のだるそうな雰囲気から一転して生き生きと「ありがとうございました!」と言う受付に背を向け、シャノンたちは求人ギルドを出た。
(まさかここに入って一時間程度で、目的達成できるなんて……)
下手するとこれから長い付き合いになるかもしれない、と思っていたギルドの看板をしみじみとした気持ちで見納めしてから、シャノンはディエゴに案内されて馬車乗り場に向かった。
「では早速、ランバート辺境伯領に向かおう。道中は半月の道のりになるし、その間私みたいなおじさんと一緒だけど勘弁してもらいたい」
「滅相もございません。私、王都の外に出たことがほとんどないので、ご迷惑をおかけすると思います」
「元貴族令嬢なら、それもそうだね。……ああ、ちなみに私には最愛の奥さんとかわいい子どもがいるし、君に変なことはしないから安心してね」
正式に雇用契約を結びシャノンの雇い主になったからか、ディエゴは砕けた言葉遣いになった。
ディエゴは辺境伯家の旗を立てた馬車を待たせていたので、それに乗り込んだ。彼は北方騎士団でもそれなりの地位にあるからか、馬車にはお付きらしい少年とメイドがいた。
最初からディエゴについて疑ってはいないが、女性がいるのならいっそう安心できた……が。
(二人とも、結構背が高いわね……)
シャノンは心の中でこっそりと、そう思った。
ディエゴは男性平均よりやや背が高いくらいだろうが、お付きの少年とメイドはわりと体が大きかった。少年の方は成人しているかしていないかくらいの年齢に見えるが、彼もメイドもディエゴとほぼ身長が変わらない。
(女性で私より背が高い方、珍しいわね……)
そう思って思わずメイドの方をじろじろ見てしまったが、彼女はシャノンが見てきても嫌な顔一つせず、むしろにっこりと笑顔を返してくれた。