王子様たちに毎日甘く溺愛されて
「ち、ちょっと!?」


「天体望遠鏡壊したらシャレにならねーからな」


そしてこっちまでくるとダンボールをひょいと持ち上げた。



「どこに運べばいい?」


「き、教室!」


「うい」


自然と糸瀬くんと会話が出来ていることが自分でも信じられない。



「遅刻するぞばーか」



そして最後にそんな言葉を残して何も言えなくなってしまった私を置き去りにする。



糸瀬くんは私の代わりに天体望遠鏡を持って屋上を出ていってしまった。



なんで…。


ちょっとは優しいところもあるんじゃん。



冷たい、クール、塩対応。



そんな噂は確かにその通りでおかげさまですごく面倒なことになっちゃったけど…。



糸瀬くんが天体望遠鏡を持ってくれたのは、ほんのちょっとだけ嬉しかった。
< 26 / 37 >

この作品をシェア

pagetop