狂気のお姫様
第2章

第1節 幼馴染の嫌がらせ

あれから割と平和な毎日が続いた。

私が仕返しした3人は病院送りになったらしく(そりゃなるわな)、未だ入院中だ。だけど私のせいにはなってない。わざわざ病院に行ってやったのだ。お見舞いに。

『災難だったね、3人して転ぶなんて』と言ってニコリと笑うと、首がとれるんじゃないかと思われるくらい頭を縦にふったのだ。相当懲りたらしい。もう何もしてこないだろう。


が、非日常は突然やってくる。

朝。けたたましい音がして手だけを伸ばす。しかし、何故か手が届かない。いつもはそこにあるのに。


「お探しのブツはコレか」

「?」


ふと頭上から声がして布団から目だけを出すと、目覚まし時計を止める陽ちゃんが目に入った。


「なにしてんの」

「用事があってな、朝早くから来てた」

「あそー」

「起きろ」


そう言うと陽ちゃんは私から布団をはぎとった。寒い。

「乙女の部屋に朝から押しかけるとかないわー」

「乙女とかないわー」

「登校拒否」

「こら」


今日も私のママ陽ちゃんは絶好調のようだ。

「まだ眠い。それスヌーズになってるの。あと30分は寝れる」

「たまには早く起きろ」

「無理。あと30分。陽ちゃんも寝ればいいじゃん」


ムスッとした顔で布団をまたかぶる。まだ30分も余裕なのに。早起きとかジジイかっての。


「寝る気満々だなコラ」

そう言いつつも、モソモソと私の布団に入ってくる陽ちゃん。寝ればいいじゃんとは言ったけど、布団に入ってきていいとは言ってないぞ。


「せまーい」

「お前ぬくいなー」

「暑苦しいな」

「お前やっぱいい匂いすんな。勃つわ」

「出てけコラ」


クソ変態が。と、思いつつも眠気には抗えないのが自然の摂理。しっかりあと30分睡眠をとらせていただきましたよ。背中にデカい虫をくっつけながら。

30分後、モソモソ起きた私は学校へ行く準備をする。かく言う陽ちゃんはまだ私のベッドの中だ。さっき早く起きろとか言ってたやつはどいつだよ。
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