狂気のお姫様
ガツッ!!

目の前の女の顔面に拳を入れる。


「ぁ……いっ」


ボタボタと鼻から血が出て、鼻の骨が折れたことが分かる。


「カオリ!!!」


取り巻きの女たちがカオリちゃんとやらを支え、私をギロリと睨む。


「何してんだお前!!!!!」


仲間の一人が拳を振り上げ、私に殴りかかるが、それをギリギリで止め、そのまま力を入れる。


「いたっ…い、痛い痛い痛い痛い!!!!」


ボキィッ

「ぎゃぁぁあ!!!!!」


ただ握っただけとは思えない音と、叫び声。

涙でぐしゃぐしゃになった汚い顔で、地面に転がり叫び続ける女を蹴りあげる。


「げふっ!…ぅっ…ぅぉぇえっ」

女は2mくらいふっとんで、地面に胃液を吐いた。


「せーとーぼーえー、だよね?」


女たちの怒りが恐怖に変わる。
鼻血女と、もう一人の女は、動けないのか、カタカタと震えている。


「ねぇ、もう1回言うけど、私、アンタの彼氏なんて知らないし、寝てもない。信じる?」


女たちは、今度は『信じる』とでも言うようにガクガクと頭を縦にふる。


「よかったー、信じてくれて。まぁ許さないんだけど」


私の笑顔に少しホッとするも、最後の言葉に愕然とし、また震え出す女達。あぁ、可哀想に。そんなに怯えるなら私に関わらなかったらいいのに。


「ご、ごめんなさぃ…も、しかしたら、鹿島さんの、勘違い、か、かも…許して…ごめん、なさい」


涙と鼻血で顔面がぐちゃぐちゃになった女は、私に縋るように泣きつく。


が、私は女の後頭部をガシッと掴むと、地面へ叩きつけた。


ガッ

「痛い!!!!痛い痛い!!!」


泣き喚くが、やめてあげない。何回か叩きつけると、女はピクリともしなくなった。


「あれ、気失っちゃった?つまんなーい」


泥まみれになった女をポイッと捨て、まだ何もしていない女へと目を向ける。


「ヒッ…!」

「なんでこっちが怖がられてるの?私は売られた喧嘩を買っただけなのに?」


ニタリと笑うと、女は仲間に目もくれず走り出した。


「あれ、鬼ごっこ?」


腰をあげ、胃液を吐いて転がっている女の顔を勢いよく踏むと、校舎の中へ逃げた女を追うため私も走り出した。
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