狂気のお姫様
あの女ほんとに気に入らない。
私がかっこいいと思った男の子に限って『東堂さん可愛いよね』と言う。まぁ、私がちょっと目を潤ませて見上げると私におちるが。だけど気に入らない。
それにあの時。東堂律は人の男を寝取る最低女だと仕立てあげようとしたのに、あの返し用。ムカつく。あのカオリとかいう女も使えない。あれから学校には来ていないが、もうあの女は"捨て"だ。
一番は私じゃないと。
なんであんな素っ気ないやつが可愛いなんて言われなきゃならないの。ムカつくムカつくムカつく。
まぁでも、天を手に入れたらあんな女どうってことないわ。
孤立させて、遊んでボロボロにしてやる。ああいう女は一度挫折しといた方がいいのよ。
心の中でほくそ笑んでいると、「あれ如月さんだよね!?」とクラスメイトが窓の外を見ながら騒いでいる。
「何かあったのかなぁ?」
もしかして私を迎えにきた、とか?いや、まだないか。それに如月陽介はあの時もずっと睨んでたし。
しかしある男子の声が私の顔色を変えさせた。
「アレ横にいるの東堂律だよな!?」
は?
はぁ?
そんなことあるわけない。何言ってんの。
そう思いながら、女たちと窓際へ行く。
そこに見えるのは、如月陽介と話しながら歩く、東堂律の姿。
…なんで?なんでアイツが如月陽介の隣にいるの。その場所は私の場所なのに。
「東堂さんって如月さんと知り合いだったんだ!」
「もしかして付き合ってるのかな?」
「え、そうだとしたら如月さん羨ましいー。俺も東堂さんと付き合いてぇよー」
「やだ!まだ付き合ったって決まってるわけじゃないじゃん!ただの知り合いかも!」
「えー、如月さーん、ショックー…」
口々に叫ぶクラスメイトたち。そんなこといちいち聞いてらんない。
許さない。
まさか私からその場所を取ろうっての?
絶対許さない。
ボロボロにしてやる。
【side 鹿島杏奈 end】