狂気のお姫様
第2節 謎の遭遇率
今日一日がすごく長く感じられた。それもこれも、全部陽ちゃんのせいだ。なるべく小田といるように、そして小田を盾にするように過ごした。小田は毎度毎度逃げようとするけど。
そしてプチ事件は放課後におこった。
『彼氏と待ち合わせしてるから』と言ってそそくさ帰ろうとする小田にベッタリとくっつき、せめて学校を出るまではまとわりついてやろうと廊下を歩いてると、
「鳴く~ん、今日はどこ行く~?」
と、女の猫なで声が聞こえてきた。小田と目配せをし、チラリと見ると、四ツ谷鳴と、腕を絡ませて歩く女、そしてそれに興味がなさそうな長谷川蓮。
四ツ谷鳴が女たらしで、食っては捨て、食っては捨てを繰り替えしているのは本当のようだ。
「長谷川さんがいるね」
「うん」
長谷川蓮は、コンビニで私たちに声をかけてきたという前科がある。そして四ツ谷鳴も、この前陽ちゃんと話してるときに接触した。
「彼らが帰るまで教室に戻るか」
「賛成」
こういう時には見つからないように逃げるのが得策である。四ツ谷鳴と長谷川蓮の見物客の間を縫ってソロソロと教室に戻ろうとする。
が、
「あれ、律ちゃんじゃない?」
天は私に味方してくれなかったようだ。いや、そもそもこいつらが天だったので、味方もクソもない。
小田の腕を掴みながら、ゆっくりと振り向く。
「あっれー、奇遇ですねー。じゃ」
「ははは」と笑いながら踵をかえそうと前を向くと、
「えー、なんで今日はそんな避けるのー。話そうよ」
全く空気を読んでくれない四ツ谷鳴の言葉が聞こえた。
そりゃ避けるよ。前は天の人しかいなかったし陽ちゃんもいたからあんだけ喋ったんだよ。てか、ほとんど陽ちゃんと喋ってたし。じゃないとアンタたちみたいな危険人物に関わろうと思わないんだよ。
再び後ろを振り向かざるをえなくなった私。周りは興味津々とでも言うように私を見ていて、四ツ谷鳴に腕をからませている女はギロッとこちらを睨んでいる。やめてーー。
「律、と小田」
そして四ツ谷鳴の横から私と小田を呼んだ長谷川蓮に、今度は小田も振り向かざるをえなくなる。小田の顔は顔面蒼白。いつでも昇天できそうだ。
「あれ、蓮仲良くなったの?それに律ちゃんの友達とも」
「コンビニでたまたま」
「へぇ珍しい」
「小田、あれおいしかったぞ」
満足気に話す彼に、「左様ですか」と小田は白目を剥いて答える。マンゴーおいしかったんだね。良かったね。
すまんな小田。道連れだ。
「そいえばさー、律ちゃん今日、」
「ねー!鳴くん!はやく行かないの?」
まずい、と思ったのは私だけじゃないはず。空気が変わったのを分かってないのは、四ツ谷鳴の言葉を遮った女だけ。
女は四ツ谷鳴の腕に胸をあてながら「こんな女にかまってないではやく行こうよー」と拗ねたように上目遣いをする。あぁ、バカだ。
「今律ちゃんと話してたんだけど、なんでお前がそれを遮るわけ」
そしてプチ事件は放課後におこった。
『彼氏と待ち合わせしてるから』と言ってそそくさ帰ろうとする小田にベッタリとくっつき、せめて学校を出るまではまとわりついてやろうと廊下を歩いてると、
「鳴く~ん、今日はどこ行く~?」
と、女の猫なで声が聞こえてきた。小田と目配せをし、チラリと見ると、四ツ谷鳴と、腕を絡ませて歩く女、そしてそれに興味がなさそうな長谷川蓮。
四ツ谷鳴が女たらしで、食っては捨て、食っては捨てを繰り替えしているのは本当のようだ。
「長谷川さんがいるね」
「うん」
長谷川蓮は、コンビニで私たちに声をかけてきたという前科がある。そして四ツ谷鳴も、この前陽ちゃんと話してるときに接触した。
「彼らが帰るまで教室に戻るか」
「賛成」
こういう時には見つからないように逃げるのが得策である。四ツ谷鳴と長谷川蓮の見物客の間を縫ってソロソロと教室に戻ろうとする。
が、
「あれ、律ちゃんじゃない?」
天は私に味方してくれなかったようだ。いや、そもそもこいつらが天だったので、味方もクソもない。
小田の腕を掴みながら、ゆっくりと振り向く。
「あっれー、奇遇ですねー。じゃ」
「ははは」と笑いながら踵をかえそうと前を向くと、
「えー、なんで今日はそんな避けるのー。話そうよ」
全く空気を読んでくれない四ツ谷鳴の言葉が聞こえた。
そりゃ避けるよ。前は天の人しかいなかったし陽ちゃんもいたからあんだけ喋ったんだよ。てか、ほとんど陽ちゃんと喋ってたし。じゃないとアンタたちみたいな危険人物に関わろうと思わないんだよ。
再び後ろを振り向かざるをえなくなった私。周りは興味津々とでも言うように私を見ていて、四ツ谷鳴に腕をからませている女はギロッとこちらを睨んでいる。やめてーー。
「律、と小田」
そして四ツ谷鳴の横から私と小田を呼んだ長谷川蓮に、今度は小田も振り向かざるをえなくなる。小田の顔は顔面蒼白。いつでも昇天できそうだ。
「あれ、蓮仲良くなったの?それに律ちゃんの友達とも」
「コンビニでたまたま」
「へぇ珍しい」
「小田、あれおいしかったぞ」
満足気に話す彼に、「左様ですか」と小田は白目を剥いて答える。マンゴーおいしかったんだね。良かったね。
すまんな小田。道連れだ。
「そいえばさー、律ちゃん今日、」
「ねー!鳴くん!はやく行かないの?」
まずい、と思ったのは私だけじゃないはず。空気が変わったのを分かってないのは、四ツ谷鳴の言葉を遮った女だけ。
女は四ツ谷鳴の腕に胸をあてながら「こんな女にかまってないではやく行こうよー」と拗ねたように上目遣いをする。あぁ、バカだ。
「今律ちゃんと話してたんだけど、なんでお前がそれを遮るわけ」