狂気のお姫様
「いたた……」
今いる場所は十字路になっていて、鹿島杏奈は私たちとも、四ツ谷鳴たちとも違う廊下から現れた。
しかも転んで。
「大丈夫?」といち早く声をかけたのは四ツ谷鳴だった。周りの取り巻きたちも、鹿島杏奈が転んだことを素早く理解し「杏奈ちゃん!」「大丈夫?!」と起こしてあげていた。
1人で起き上がれないのか。赤子かよ。
「あ、大丈夫で…あ!こないだのぉ…人ですよね?隣の人も」
いつものうるうるした瞳で四ツ谷鳴に話しかける。さっき女を殴り飛ばしていた奴に話しかけるなんて、相当図太い神経をお持ちのようで。
「あぁ、こないだ屋上に来た子か」
四ツ谷鳴の言葉に、話を聞いた人たちは驚きの声をあげる。
まぁ、それもそのはず。本来なら誰も行ってはならないのだから。それなのに今鳴さんは『屋上に来た子か』とすんなり答えた。それに無傷で生還した彼女は、彼らに見初められたのかという推測も簡単にできるだろう。
「わぁ!覚えてくれてたんですかぁ!」
「屋上にはなかなか人が来ないからね」
「あ、今日友達に聞きました…。勝手に行っちゃってごめんなさい…。どうしても屋上で食べてみたくて…」
申し訳なさそうに俯く鹿島杏奈は、それはそれは可愛らしく庇護欲がかきたてられるであろう。男どもはうっとりと彼女を見つめている。
「大丈夫だよ」
ニコリと、紳士のような笑みを浮かべる四ツ谷鳴に鹿島杏奈はパァッと明るい笑顔を咲かせる。なるほど、こういうふうに男を落とすのか。
「忍法変わり身の術」
ボソリと私の耳元で呟く小田に強めの肘打ちをし、緩む口元を抑える。笑わせるなまじで。
「それで、こんなとこで何してたんですかぁ?」
コテンと首を傾げて唇を突き出す仕草は天然少女そのもの。
「律ちゃんと話しててね」
おーい!!!鳴さんや、そこで私の名前を出してくれるな!!
鹿島杏奈の目がコチラへ向き、その瞬間キラキラと輝いた。
「あ!律ちゃん!この人とお友達だったのぉ??」
さも今気づいたかのように私のもとへパタパタと駆け寄る鹿島杏奈。お前いつから律ちゃんなんて呼んでたんだよ。
「いや友達ではない」
「えー!うそぉ。仲良さそうだもーん!律ちゃんのお友達なら私もお友達になりたいなぁ」
やめてくれー。仮にも先輩だぞ。友達なんていうな。失礼だろ。
私は、上下関係は意外とキッチリ教えこまれているので、そこらへんはぬかりないが、コイツはそんなことお構い無しらしい。
「いや、この方は先輩だから。友達なんて言ったら失礼だよ」
「あ、そうだったのぉ!先輩だったんだぁ。全然知らなかったよぉ。ごめんなさい…。お名前はなんて言うんですかぁ?」
クルリと四ツ谷鳴に向き直った鹿島杏奈の名前はなんだ発言に、周りは驚愕。
「杏奈ちゃん四ツ谷さんの名前知らないの!?」
「え?みんな知ってるの?」
「当たり前だよ!」
「えと…だってこないだは名前聞けなかったしぃ」
天はこの学校で有名なのに、それを知らないとなるとあくまで自分たちのステータスに興味はなくただ友達になりたいのだ、ということになる。こんな珍しい子はいないだろう。
だって私でも知ってたかんな。小田に教えられて。めっちゃ簡単にだけど。ちなみに小田には『屋上近づいたらまじでやばい悪な人たちがいるから死ぬ』とだけ教えてもらっていた。まじで簡素。そのあと詳しく教えてもらったんだけどね。
今いる場所は十字路になっていて、鹿島杏奈は私たちとも、四ツ谷鳴たちとも違う廊下から現れた。
しかも転んで。
「大丈夫?」といち早く声をかけたのは四ツ谷鳴だった。周りの取り巻きたちも、鹿島杏奈が転んだことを素早く理解し「杏奈ちゃん!」「大丈夫?!」と起こしてあげていた。
1人で起き上がれないのか。赤子かよ。
「あ、大丈夫で…あ!こないだのぉ…人ですよね?隣の人も」
いつものうるうるした瞳で四ツ谷鳴に話しかける。さっき女を殴り飛ばしていた奴に話しかけるなんて、相当図太い神経をお持ちのようで。
「あぁ、こないだ屋上に来た子か」
四ツ谷鳴の言葉に、話を聞いた人たちは驚きの声をあげる。
まぁ、それもそのはず。本来なら誰も行ってはならないのだから。それなのに今鳴さんは『屋上に来た子か』とすんなり答えた。それに無傷で生還した彼女は、彼らに見初められたのかという推測も簡単にできるだろう。
「わぁ!覚えてくれてたんですかぁ!」
「屋上にはなかなか人が来ないからね」
「あ、今日友達に聞きました…。勝手に行っちゃってごめんなさい…。どうしても屋上で食べてみたくて…」
申し訳なさそうに俯く鹿島杏奈は、それはそれは可愛らしく庇護欲がかきたてられるであろう。男どもはうっとりと彼女を見つめている。
「大丈夫だよ」
ニコリと、紳士のような笑みを浮かべる四ツ谷鳴に鹿島杏奈はパァッと明るい笑顔を咲かせる。なるほど、こういうふうに男を落とすのか。
「忍法変わり身の術」
ボソリと私の耳元で呟く小田に強めの肘打ちをし、緩む口元を抑える。笑わせるなまじで。
「それで、こんなとこで何してたんですかぁ?」
コテンと首を傾げて唇を突き出す仕草は天然少女そのもの。
「律ちゃんと話しててね」
おーい!!!鳴さんや、そこで私の名前を出してくれるな!!
鹿島杏奈の目がコチラへ向き、その瞬間キラキラと輝いた。
「あ!律ちゃん!この人とお友達だったのぉ??」
さも今気づいたかのように私のもとへパタパタと駆け寄る鹿島杏奈。お前いつから律ちゃんなんて呼んでたんだよ。
「いや友達ではない」
「えー!うそぉ。仲良さそうだもーん!律ちゃんのお友達なら私もお友達になりたいなぁ」
やめてくれー。仮にも先輩だぞ。友達なんていうな。失礼だろ。
私は、上下関係は意外とキッチリ教えこまれているので、そこらへんはぬかりないが、コイツはそんなことお構い無しらしい。
「いや、この方は先輩だから。友達なんて言ったら失礼だよ」
「あ、そうだったのぉ!先輩だったんだぁ。全然知らなかったよぉ。ごめんなさい…。お名前はなんて言うんですかぁ?」
クルリと四ツ谷鳴に向き直った鹿島杏奈の名前はなんだ発言に、周りは驚愕。
「杏奈ちゃん四ツ谷さんの名前知らないの!?」
「え?みんな知ってるの?」
「当たり前だよ!」
「えと…だってこないだは名前聞けなかったしぃ」
天はこの学校で有名なのに、それを知らないとなるとあくまで自分たちのステータスに興味はなくただ友達になりたいのだ、ということになる。こんな珍しい子はいないだろう。
だって私でも知ってたかんな。小田に教えられて。めっちゃ簡単にだけど。ちなみに小田には『屋上近づいたらまじでやばい悪な人たちがいるから死ぬ』とだけ教えてもらっていた。まじで簡素。そのあと詳しく教えてもらったんだけどね。