残念先輩って思われてますよ?
週末金曜日の夕方六時──待ち合わせ場所に行くと先に窓側のボックス席に座っている逢沢さんがお店の窓越しに見えてこちらに軽く手を振り合図をしてきた。
店内に入り、待ち合わせであることを伝えると既に逢沢さんがお店の人に伝えてあって、すぐに逢沢さんの座っている席に案内される。
ここに向かう途中に母には夕食は外で済ますからとLIMEとショートメールをダブルで入れておいた。大学生の頃、LIMEだけに連絡を入れて夕飯を外で食べて家に帰ったら母がラインを見てなくて夕飯の準備を台無しにしたと怒られたことがあるからだ。
注文を取りに店員さんが私達の座っている席に来ると、軽く食べられるものと、甘いドリンクを注文した。
普段は、多少節制する「甘い誘惑」だが、こういう時ばかりは私は自分の体に素直に応じることにしている。
彼女とは週に一回くらいの頻度でこうやって、お店を転々としながら仕事の愚痴や面白い話などを話し合っている。
だけど……。
「でもさー、あの先輩も優しいだけって感じ……もっとこっちを楽しませてくれないとね~」
出た……。職場男性の批評トーク。私の苦手なジャンルのひとつ……。
逢沢さんは延々とあの人はこうだ、この人はちょっとな、と熱く語っている。なぜそうもこの話で熱くなれるのかが私には理解できない。おそらく放っておくと何十年先でもこの考えは変わらないと思う。