残念先輩って思われてますよ?
先輩、残念がられてますよ?
四週目も終わり金曜日の夕方、また逢沢さんが私に帰りにどこか寄らないかと声を掛けてきた。
廣田先輩と何か進展でもあったのかな? まあ、気にならんでもないので、了承し待ち合わせ場所を決める。
駅ビルの中のレストラン──金曜の夕方ともあって親子連れやカップルが目立つ。
お店選びをちょっと失敗したかな……割と込んでいて、店の前に出されているウェイティングリストに私の名前を書く。
今日は珍しく私の方が先に終わり、待ち合わせ時間より五分早く到着した。
まだ逢沢さんは来ていない。
お店から案内があるまで他のお客さんも何組か前の方で待っているので、少し離れて待つことにする。
待ち合わせ時間を少し過ぎたあたりで逢沢さんが少し早歩きで到着した。
「ごめん、待った?」
「ううん、お店が混んでるから今、呼び出し待ち」
私はそう答え、周りを見渡し自分より先にいた人達をグループごとに数える。
「多分、私達三番目、結構回転早いからすぐに呼ばれると思うよ」
私の予想通り、お店の店員さんが出てきて、書き込んだ代表者の名前を同時に読み上げ先に待っていた客たちがお店の中に案内されていくと、続けてすぐに私の名前も呼ばれた。
お店の中に入ると、入口側の外から見える窓側の席に通される。
これは私の勝手な思い込みかもしれないが、若い女性グループは客寄せパンダの如く、外から見える場所に配席される確率が高い気がする。
若いうちが花という、なんともはた迷惑な考えが世の男性に根付いている気がして、少し嫌気がさすが、目の前の彼女「逢沢愛未」はそれが当たり前だと受け入れ、積極的に「今」を謳歌していると思う。
それが自然なのだろう。むしろいまいち自分に自信が持てず、何も行動に移すこともなく「きっかけ」でさえ、どこかからか転がり込んでくるのをただ待っている自分は損をしている気もしないでもない。
トマトソースを絡めたパスタの他に逢沢さんとシェアで、アボカドとサーモンのレモンで絞ったサラダを注文する。