残念先輩って思われてますよ?
「宗方ちゃん、この後、用事ある?」
今日会ったばかりで、あまり会話もしていないのにどんどん私の懐に入ってくる。
ちなみに私は必要とあらば、多少なりの社交的な会話もできなくはないが、元々は根暗な部類にジャンル分けされると、自分でそう己に評価を下しているので、正直あまり気乗りしないが、でも、そこまで多くないだろう同性のそれも同期、仲良くしない訳にもいかない……。ここは私が波風立てずに静かに学生生活をエンジョイするために身に着けた「社交的モード」で接するべきだろう。
「うん、行こうっ!」
会社を出て、駅のそばにある某有名ファストフード店に二人で入り、二階のテーブル席で向かい合って今日の入社式の話で彼女はひとりでさっそく職場の男性陣のことをネタに盛り上がっている。
「ちょっとね~、男の人のレベルがね~」
そう? 男の人をあまりそういう見方しないので、よく分からない……。
けど、ほとんどの子は相手の見た目と、自分へのキャッシュバック……いい仕事に就いていたり、お金持ちだったり将来有望だったり……『自分の損得』で恋愛対象を決めている。
それって恋愛なの? と聞きたくなるけど、こういった子達は一度狙いが定まると自己暗示を掛けて、その人のことがたまらなく「好き」になる……。
不思議──自分でわかっている筈なのに思い込んで敢えてそのことに触れようとしない。
そういった点では私は人を好きになったことがない……と思う。
中学校、高校、大学と気になる人はちらほらといたが、どうもそれは「好き」という気持ちにまで至っていないと思う。
男の人からのアプローチは何度かあった……。でも、向こうが気にしているからといって私が相手と同じ気持ちになれるとはこれまで思えなかった。