残念先輩って思われてますよ?
(うーん、美味しい──みたらし団子を発明した人、本当に有難う……。)
私はほくほく顔になって幸せそうにお団子を頬張っていると、ふと廣田先輩と視線がぶつかる。
「おっ、悪い悪いっ、団子をこんなに幸せそうに食べる人って見たことなくて」
「ちょっぽ……(ゴクンッ)ちょっと先輩失礼ですよ、レディーに向かって食べているところを茶化すなんて」
私は、ぷんぷんと頬を膨らませて精いっぱいの抗議をするが、先輩は何かのツボに入ったのかヒーヒーと笑って取り合ってくれない。
「先輩の食べているお団子──三色団子の意味って知ってます?」
私はちょっと悔しいので反撃に出ることにした。
「え? なに、団子に意味なんてあるの?」
腹を抱えて咳き込むほど笑っていた廣田先輩が私の話に食いついてきた。しめしめっ!
「三色団子は昔の人が、ピンク色が桜を連想させる春、白は雪の降る冬で緑は夏を表してて、「秋」がないことで、「(食べ)飽きない」というダジャレの意味が込められてるんですよ?でもまあ諸説ありますけど……」
うんちくをひけらかした、私はどうだとばかりに「ふふん」と勝ち誇る。
それを見た先輩は真顔でぽつりと言葉をこぼす。
「じゃあ俺の三色団子は宗方さんかな……見飽きないから……」
え? それってどういう意味?
私が真意を問い質そうとすると廣田先輩は急に立ち上がり「よし帰るぞ?」と言い一人でさっさと駅に向かう。
うわわわっ……今の何? 気になるぅぅ、ちょっと待って先輩~~~。