残念先輩って思われてますよ?
先輩、噂されてますよ?
廣田先輩と組んで四日目木曜日。
今日は郊外にある土地付き注文住宅の完成見学会の応援で、私はもう一人同期の男性新入社員と、のぼり旗の設営と住宅の駐車場にテントを張りテーブルや椅子を置いた後、そのテントでの受付を午前中は任せられていて、廣田先輩と男性新入社員とペアを組んでいるもう一人の先輩は中の方の応援に回っている。
今日は割と気が楽だ……受付で何か質問されても中の方でお聞きくださいと丸投げできるし、家族連れで小さなお子様がいたら、ちょっとした玩具とお菓子を粗品としてあげると小さい子にとても喜んでもらえるからだ。
あれ? 少し離れたところの臨時駐車場のところから年配の男性がひとりこちらに向かって歩いてくる。
私は自分に可能な精いっぱいの笑顔をつくり、男性に声を掛けた。
「こんにちは~♪ この家の完成見学会にご参加でよろしいでしょうか~?」
「……」
(あれ? 返事をせずに私を睨んでいる)
そばを見ると同期の男性新入社員は、目の前の年配の男性の只ならない雰囲気に気づき動けなくなっている。