残念先輩って思われてますよ?
(ちょっとしっかりして! 男の子……頼りにならないなぁもう……)
「あの~どういったご用件でしょうか?」
私は自分の頬に伝う汗を無視して、男性の言葉を引き出そうとする。
年配の男性は無言で、臨時駐車場の方を指差す。
私は、指先を辿り視線を向かわせると、先に来られた見学客の車が少し道路にはみ出たしているのが見えた。
「あちらの車両の件でよろしいでしょうか? すぐに車の持ち主を呼んでまいります」
「・・・・(ぼそっ)」
「申し訳ありません、もう一度少し大きな声でお願いします」
「なんで勝手に車を停めてんだって言ってんだろうがぁぁぁ! この〇〇〇ぁぁぁ!」
突然の怒鳴り声に身体が硬直し呼吸も一瞬止まる……少し間をおいて後から体中に鳥肌が走り始める。
頼りない同期の男性社員は今の一喝で完全に尻込み「ひっ」っと呻いた。
生まれてこの方、こんなに現実で怒鳴られたことなんて一度もない。