残念先輩って思われてますよ?
女性先輩の意外な言葉に私は思わず不躾な返事をしてしまった。
「相応しいか相応しくないかじゃないんだよ~? 好きか好きじゃないか。たったそれだけ……」
そう、なんとなくわかっていること……それをはっきりと「言葉」にされると私の中のモヤモヤとしているものが一つの言葉を象っていこうとするが、心の中の私の手がそれを左右に振って霧散させて有耶無耶にしてしまう。
「宗方ちゃん不器用だね~、でも応援するよ。なんでもかんでも自分の思い通りになると思ってるヤツよりは断然いいわっ」
(それって誰のことを指しているんだろう?)
「宗方ちゃんみたいなタイプは自分の気持ちの整理に時間が必要だけど、今回は宿敵(タイムリミット)付きだからなぁ、まあ向こうの手口はだいたい予想できるけどね」
うーん、さっぱり先輩の言っている意味がさっぱりわからない……私に時間を与えても何も変わらないし整理しようにも、整理する「モノ」がない。宿敵? 逢沢さんと廣田先輩のことなら私がどう考えようが二人の間に割って入るなんて一ミリも思えない。
「おっと、噂をしたら帰ってきたか……宗方ちゃん負けるなっ?」
「私も応援する~」
「私も宗方ちゃんに一票」
先輩達は親指を立て私にグッドサインを送ってくると何食わぬ顔で黙々と仕事を始めた。
廊下から声が聞こえると思ったら直後に逢沢さん達が管理部より戻ってこの経理課に顔を出した。