残念先輩って思われてますよ?
「あっ璃~子~どこ行ってたの~、私達大変だったんだよぉ~」
逢沢さんが手前の打ち合わせテーブルでノートPCを開いて作業している私を見つけてさっそく声を掛けてきた。
「ごめん、ちょっと午前中の仕事で遅れちゃって……」
「え? 蒼佑さんと何か問題でもあったの?」
あれ? 蒼佑先輩から更に昇格して「蒼佑さん」に上場してる……、なんだろう心の中の黒い靄のようなものが大きくなっていく気がする。
「ううん、廣田先輩との問題じゃなくて仕事を少しでも覚えようと思って」
「そっかー、璃子、営業向いてなさそうだもんね~」
──そう、私は営業向きではない。どっちかって言うと一日中、一言もしゃべらず黙々と単純作業をしているのが、性に合っているしそっちの方が落ち着く。
でも、未練が無いわけでもない──廣田先輩にもっと色々なことを学びたい。部署が変わってしまうと学べる機会が極端に減ってしまう……。うん、そう……仕事を学びたいのだ私は。それ以外の何物でもない。
「逢沢さんは営業部希望なの?」
私はふと、彼女がどう考えてるのか質問してみた。