残念先輩って思われてますよ?
「──次に逢沢愛未、営業部に配属とする」
──やっぱり逢沢さん営業部なんだ……。そっか、そうだよね逢沢さん程、営業に向いている人って同期でいないもんね……。
「最期に宗方璃子、君は系列会社への“出向”を命じる」
出向? いきなり……。
心の中で糸の様なものがプツリと切れた音がした。なぜだろう……軽く眩暈がする。
その後の説明で私は東京都内の会社に出向することが伝えられるものの、まあ当然ではあるが、その理由までは聞かされなかった。
配属先決定通知を受けた後、経理課からノートPCを回収し営業部に返納し、私の使用履歴や権限等を削除していく。
淡々と作業している私に逢沢さんは明るく声を掛けてくる。
「璃~子~、おめでとう♪ あの会社ってここより大きくて都会じゃん、いいなあイケメンもいっぱいいるんだろうなぁ……あっでも私には蒼佑さんがいるから別に良かったんだった~」
「……」
「あれ~? 元気ないね~、まあでも、あとちょっとで壮行会やるからそこで皆でワイワイ楽しもうね~♪」
逢沢さんのわざとらしい、挑発するかのような台詞に私は応える元気もない。
──飲みに行きたくない……。なんかどうでもよくなってきた。まさか同じ社内でもなく関連企業……。
でも……。
廣田先輩にはちゃんとお礼を伝えないと、もう二度と会えないかもしれないから……。