残念先輩って思われてますよ?

 突然先輩のひとりが私に最も触れてほしくないことに何の躊躇いもなく土足で踏み込んでくる。この先輩は確か三週目に癇癪起こして塀に蹴りを入れていた先輩。


「いえ……特にいません、今は仕事を覚えないといけないですから」

「おー、言うねー、そういう台詞はデキるヤツが言う台詞だぜ宗方ちゃん」

「おい、いくら何でも失礼だろ」

「大丈夫だって、ねっ? 宗方ちゃん気を悪くしてないよね?」

「え……はい、まあ」


 もう一人の先輩が嗜めるものの、少し酔いが回って来たのかその先輩は少し前から少し絡んでくるようになった。


「じゃあさ、俺と付き合ってみる? 今、俺フリーだし宗方ちゃんどうせ来週から出向でしょ? 社内恋愛じゃないからセーフだし」


 ──そういうことか……この男性先輩二人は、この飲み会の二人しかいない女性のうちの一人は相手が悪いから諦めてしょうがなく私みたいなレベルの低い女を口説こうとしているのか……。


「いえ、結構です。私はそういうことに興味がありませんので」

「あれ? おかしいなぁ、宗方ちゃん男に飢えてるって聞いたんだけど?」

「おい馬鹿!? なに言ってるんだよ……宗方ちゃんごめんねコイツ、ちょっと酔っぱらってて変なこと言っちゃって」

「いえ……」

「でもさ、その噂を聞いたのは本当だぜ、誰とは言わないけど」

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