残念先輩って思われてますよ?

「ああ、廣田、コイツが酔っぱらって宗方さんにちょっと絡んじまって悪い、宗方ちゃんそっちの方に連れてってくんない?」


 先ほどから嗜めてくれている先輩がそう言い、廣田先輩と二人で私のお皿やお箸、グラスを移動させてくれる。


「あー逃げたか~残念」


 三週目の先輩から私の背中に声を投げかけてきた。


「蒼佑さんどうしたの~璃子ちゃん連れてきて?」

「ああ、ちょっとアイツが酔っぱらって絡んだみたいだから宗方さんこっちに連れてきた」

「ふ~ん、璃子ちゃん何て言われたの~?」


 なんて白々しい……、私のこの気持ちの悪さはほとんど目の前の女性が原因なのに……。

 その後、逢沢さんは廣田先輩にくっつき引き離されを繰り返しながら、廣田先輩だけを見て話しかけ、廣田先輩は「宗方さんはどう思う?」と話を私に振ってはしばらくするとすぐに主導権を逢沢さんに奪われ、また二人だけの世界を作ろうと私を会話から排除し、またも廣田先輩が私に話を振るということを何度も何度も繰り返す。

 いつの間にか、時間も大分経ち二次会に行こうという話になり、幹事を任せられた男性新入社員の一人が会計を立て替えて済ませて皆でお店の前に出てからどこに行こうかと話をし始める。

 ──もう帰りたい……帰って愛猫をいっぱい抱きしめて心を癒したい。
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